The squid and the whale


The squid and the whale (2006)
『イカとクジラ』





シンプルなんだけど
難解で
面白いんだけど切なくて。


言葉にするまでに
時間がかかりそう。

ただ観てすぐの今のうちに
なんとなく感じた
感覚的な部分だけ残したくて
文章を書いてみようと思ったの。


ストーリーはシンプルだし
映画の尺も短め。


2人兄弟と両親の4人家族が
ある日両親の不仲でバラバラに
暮らすことになる。

子供たちは曜日ごとに
母の家と父の家を行き来、
そんな中で少しずつ見えてくる
両親の悪いところ。

そんな環境に耐え切れず
ひねくれていく子供の心。

それをひたすら淡々と描いている作品。


別に向き合おうって決意するとか、
突然ものすごい不良になって
社会的に迷惑かけるとかでもなくて。

だだこっそりのんびり
ちょっと”異常”になっていく。

その異常行動がまた、
しょうもなくていいんだけど。


劇中にウォルトが言う、

"Don't be difficult "

はまず君の家庭に対して
(もはやこの映画に対して)

言いたいよ!みたいな台詞。


肩肘張らずに、シンプルに、
生きていけばこんなに苦しまなくて
すむんじゃないか、とか。

もっと改善の余地は
あるんじゃないか、とか、
思っちゃう平坦に事が進む感覚。

面白いのは修復できそうな程度の
夫婦関係がぐずぐず少しずつ
悪化していくところ。

ああ、確かにありそうこんな展開と
思った。

ちょっとのズレなのに
うまくできない。

もどかしいのは子供たちだけじゃなくて
父親もきっと一緒。

でも母親は少し違って、
気持ちに安定しない揺れを感じた。

なんとなく一本通して感じられる、
母親の「修復する体力も湧かない」
気持ちはわかった。 

けど、

女は弱ってる時にそばにいてほしいから
その弱さに気づいてもらえなかった時、
(実際、母親は別居してすぐの頃、
少し譲歩したようにみせる描写がある。
父親はその話題の上修復不可と断言した。)
潔く次に守ってくれる人を探すか
自分の足で走り去るのよね。


その結果小さかったズレも
直せないまま過ぎちゃって

子供たちにも色んな傷が
重なって

異常行動にでるようになる。





フランクの異常行動は
結構わかりやすくて
反抗期といっぺんに発散中みたいな

ちょっと過激なところが多いけど


兄のウォルトの方は、もう、
思考的な異常になっちゃってて
ちょっと可哀想だったな。

父親に心酔してたのに、
父親を信じる自分を信じてたのに

父親を尊敬できなくなって
そんな自分もなんだかわからなくなって

迷いさまよって走ったり。

最後に行き着いた思い出は
母親とのものだし、

きっと思いこんで信じたかった自分と
かけ離れてきてる感情に示しを
つけたくて、原点回帰にイカとクジラの
展示をみたのかな。

映画批評家の町山智浩さんは
あのイカとクジラを夫婦喧嘩の
メタファーだと言うけれど

私はなんとなく
父親を信じてた自分と
確立し始めた本当の自己との
対決でもあったのかと思う。

その父親への不信感と
対峙できる時が来たから、

入院してる父の元から
走り去ってあの展示にきたのかなって。


あとは、
『フランシス・ハ』の時もそうだけど

ノア・バームバックは迷うと
”走り出す”シーンをつけるのかな。

「走る」っていう行動に
特別な意味を見出してる気がした。


ピンク・フロイドの曲が
とてもいい効果を出してるから

ー歌詞ももちろんだけど、
メロディもメランコリーで行き場のない感じー

アップルミュージックでぜひ
聴いてみてほしいlol


あとゴダールの『勝手にしやがれ』を
観てから観た方がこの映画のラストへの
思い入れがなんかちょっと
変わってくる気がする。

母親が薄々感じる
あなたはベルモンドになれないよ感
は若干あったけど、
あの思い出話のトキメキは
私ならちょっとより戻したくなるだろうな。


あのお母さんの淡白で口の悪いところは
本当に悪いクセだわ。


そんな家族トラブルばかりで
重い話なんじゃないかって思いそうだけど

全然そんなことはなくて、
観てて綺麗だな、とか愛くるしいな、とか
そうゆう気持ちもちゃんと湧き出てくる作品。

映画の色合いとかキャストの愛敬は
本当に隅から隅まで徹底してる。

製作にウェス・アンダーソンいるし
そういう小細工的な魅力は
すごくあった。

部屋の壁の色とか、
小道具のチョイスもセンスいいし。

母親がずっとデニムのベスト着てる
地味にダサいとこも愛しい。


だから観てて居心地悪いとか
後味悪いとかもないんだよね。

ラストがなんといっても
かなり壮大で美しいし。


だから尻込みしないで観てほしい。
そしてなんなら、色んな解釈や意見に
わかれて話し合いたくなるような作品。


私もこれから色んな人と
ディスカッションしたいから

積極的にこの映画みた人と話したいなと
思ったよ!

ぜひ、観たら感想教えてください。


nana


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